人事ノウハウ

モチベーションとは?仕事で低下する原因や社員・部下の意欲を高める方法

2026/08/28

このページでわかること

モチベーションの意味と主な種類

モチベーションは、行動を起こし、目的に向けて持続させる動機や心理的な働きです。仕事では、本人の内側から生じる内発的動機付けと、報酬などによる外発的動機付けがあります。

社員のモチベーションが低下する主な原因

社員の意欲には、目標や役割、評価、給与、裁量、人間関係、業務負荷、キャリアの見通しなどが影響します。本人の姿勢だけでなく、制度や職場環境に原因がないか確認することが重要です。

モチベーションを高め、維持する方法

目標と仕事の意義を共有し、適切な裁量、承認、フィードバック、成長機会を整えます。サーベイや面談で状態を把握し、個人の気合いに依存しない業務の仕組みをつくることも大切です。

社員のモチベーションは、仕事への取り組み方や人材の定着、組織の活力に関わる要素です。しかし、給与やインセンティブを用意すれば一律に高められるものではありません。仕事内容、評価、上司との関係、職場環境、キャリアの見通しなど、さまざまな要因の影響を受けます。

社員の意欲が低下しているとき、本人の性格や姿勢だけを問題にすると、背景にある組織課題を見落とす可能性があります。企業には、社員が仕事の目的を理解し、自分の能力を発揮しやすい制度や環境を整える視点が必要です。

このページでは、モチベーションの意味や種類、仕事で低下する原因を整理したうえで、社員・部下のモチベーションを高め、維持する方法を解説します。

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モチベーションとは

モチベーションとは、人が行動を起こし、一定の方向へ向かわせ、その行動を持続させる動機や心理的な働きのことです。仕事では「なぜこの業務に取り組むのか」「何を実現したいのか」といった行動の理由や目的も含みます。

一時的な気分だけを表すものではないため、社員のモチベーションを考える際は、やる気、エンゲージメント、インセンティブとの違いを押さえることが大切です。

モチベーションに関しては様々な理論があります。特定の理論だけで判断せず、複数の視点を組み合わせて活用することが大切です。

理論 概要
マズローの欲求5段階説 人の欲求を生理、安全、社会、承認、自己実現の5段階で捉え、社員が職場で何を求めているかを多面的に確認する理論です。
ハーズバーグの二要因理論 仕事への満足を高める要因と、不満を生じさせる要因を分け、労働環境と仕事内容の両面から改善を考える理論です。
自己決定理論 自律性・有能感・関係性の3つの心理的欲求に着目し、主体的に働きやすい環境や関わり方を考える理論です。
期待理論 努力が成果や評価につながり、その評価を本人が望んでいるという期待が、行動への意欲に影響すると捉える理論です。
目標設定理論 具体的で適度に難しい目標と進捗へのフィードバックが、行動を促すと捉え、目標の設計や運用に生かす理論です。

意欲を高めるもととなる「動機付け」を意味する語だが,スポーツや仕事の分野では,意欲そのものを指して用いられることも多い。その場合は「意欲」「やる気」「士気」などで,言い換えることができる。

出典:国立国語研究所「モチベーション」

「モチベーション」と「やる気」には、一般的に共有された厳密な使い分けはありません。国立国語研究所は、モチベーションが意欲そのものを指す場合、「意欲」「やる気」「士気」などに言い換えられるとしています。

比較項目 モチベーション 従業員エンゲージメント
意味 特定の行動を起こす動機や意欲 仕事や組織に対する自発的な貢献意欲や心理的な結び付き
主な対象 個々の行動や目標 仕事や所属する組織

モチベーションは、特定の行動を起こし、継続するための動機や意欲です。一方、従業員エンゲージメントは、社員と仕事・組織との心理的な結び付きや、自発的に貢献しようとする姿勢を指します。

両者の主な違いは、意欲が向けられる対象です。モチベーションは「目標を達成したい」「報酬を得たい」「成長したい」など、個々の行動や目的に向けられます。エンゲージメントは「この仕事に力を注ぎたい」「この組織に貢献したい」といった、仕事や組織との関係を表します。

「動機付け」とも言い換えられる類義の外来語に「インセンティブ」がある。「モチベーション」が,意欲を内側から高める働きかけであるのに対して,「インセンティブ」は,報酬などによって意欲を外側から刺激する働きかけを指し,「意欲刺激」と言い換えられる。

出典:国立国語研究所「モチベーション」

モチベーションは、人が行動を起こし、目標に向かって行動を続けるための動機や意欲です。一方、インセンティブは、特定の行動を促すために外部から与えられる刺激や条件を指します。

両者の主な違いは、モチベーションが「行動する本人の心理的な働き」であるのに対し、インセンティブは「その心理や行動に働きかける外部の手段」である点です。

モチベーションの主な種類

仕事におけるモチベーションは、大きく「内発的動機付け」と「外発的動機付け」に分けられます。それぞれに異なる特徴があり、どちらか一方だけが重要というわけではありません。

内発的動機付けとは、仕事そのものへの興味や、取り組む過程で得られる充実感を理由に行動することです。具体的には、次のような感覚が含まれます。

  • 仕事そのものが面白い、もっと知りたい
  • 課題を解決したときに達成感を得られる
  • 仕事を通じて成長していると感じる
  • 顧客や社会に貢献できていると感じる
  • 自分で考え、選択しながら仕事を進められる

内発的動機付けは、企業が命令によって直接つくり出すものではありません。社員が仕事の目的を理解し、能力を発揮し、主体的に関われる環境を整えることが支援につながります。

外発的動機付けとは、行動の結果として得られる報酬や評価、あるいは不利益を避けることを理由に行動することです。次のようなものが挙げられます。

  • 給与や賞与を得る
  • 昇進・昇格を目指す
  • 表彰や周囲からの評価を得る
  • 目標を達成して人事評価を高める
  • 注意や処分などの不利益を避ける

給与や評価は、社員が安心して働くための重要な基盤です。ただし、それだけで長期的な意欲を維持できるとは限りません。外発的動機付けを適切に運用しながら、内発的動機付けを損なわない設計が求められます。

仕事のモチベーションに影響する主な要因

仕事への意欲は一つの要因だけで決まるものではありません。仕事の内容から職場環境、評価制度、将来のキャリアまで、複数の要因が相互に関係します。

自分の業務が、顧客や社会、組織にどのような価値をもたらしているかを理解できることは、仕事を自分事として捉える土台になります。経営理念を掲げるだけでなく、日々の業務とのつながりを具体的に伝えることが重要です。

業務の進捗や成果を確認でき、自分の能力が高まっていると実感できることも意欲に関係します。大きな成果だけでなく、以前はできなかったことや改善した点を振り返れるようにします。

成果や努力が適切に認められ、評価の根拠に納得できることが重要です。結果だけを伝えるのではなく、評価した行動、今後期待する役割、改善点を具体的に説明します。

貢献度や役割に見合った、公平性と納得感のある処遇は、安心して働くための基盤です。制度上の公平性だけでなく、評価や処遇が決まる過程を社員が理解できる状態を目指します。

仕事の進め方について一定の選択権や自己決定の余地があると、社員は主体的に業務へ関わりやすくなります。ただし、裁量を与えることと放任は異なります。目的、権限、判断基準、相談先を明確にしたうえで任せることが大切です。

職場内で相談しやすく、上司から必要な支援やフィードバックを受けられることは、安心して働くための重要な条件です。上司だけでなく、同僚同士で助けを求めやすい関係づくりも欠かせません。

過度な業務負荷や長時間労働が続くと、社員に意欲を求める以前に心身が疲弊します。業務量、人員配置、役割分担、使用するツールや設備などを含めて、働きやすい環境を整える必要があります。

現在の仕事が将来のキャリアにどうつながるのかをイメージできることも大切です。昇進だけでなく、専門性の向上、職種転換、社内公募など、複数の選択肢を示すとよいでしょう。

評価制度の設計と運用については、「人事担当者が知っておきたい人事考課のポイントと評価項目」も参考にしてください。

社員のモチベーションが低下する原因

社員のモチベーションが低い場合、本人の性格や姿勢だけでなく、職場側の要因を確認する必要があります。次のような状態が複数重なっていることもあります。

何を期待されているのか、担当業務が何につながるのかがわからない状態では、優先順位を判断しにくくなります。目標の背景や達成基準まで共有されているかを確認します。

評価基準が不透明、フィードバックがない、成果や工夫が処遇に反映されないといった状態は、不公平感につながります。評価者によって判断が大きく異なる場合も、制度への信頼を損ないます。

仕事が簡単すぎる、難しすぎる、本人の強みを生かせないなどのミスマッチが考えられます。本人の能力不足と決めつけず、業務内容や配置が適切かを確認します。

同じ業務が続き、新たな能力を身に付ける機会や将来の選択肢が見えないと、現在の仕事に取り組む意味を感じにくくなることがあります。本人の希望と組織が期待する役割をすり合わせる機会が必要です。

指示や進捗確認だけのコミュニケーションになり、相談、対話、承認の機会が不足している状態です。社員の発言を途中で否定する、意見を聞いても反映結果を伝えないといった対応にも注意が必要です。

孤立、対立、ハラスメント、心理的安全性の低さなどは、仕事への集中や相談行動を妨げます。表面上のトラブルがなくても、発言や質問を避ける雰囲気がないか確認します。

長時間労働、人員不足、役割の偏り、責任の集中などによって心身が疲弊している状態です。この場合、声掛けや研修よりも先に、業務量や体制を見直す必要があります。

厚生労働省の調査では、仕事や職業生活について強い不安・悩み・ストレスを感じる事柄がある労働者は68.3%でした。内容では「仕事の量」が43.2%で最も高く、「仕事の失敗、責任の発生等」が36.2%、「仕事の質」が26.4%と続きます。ストレスとモチベーションは同じものではありませんが、意欲の低下が見られるときは、業務量や責任の偏りも確認する必要があります。

仕事や職業生活で強い不安・悩み・ストレスを感じる事項。仕事の量が43.2%で最も高く、仕事の失敗・責任の発生等が36.2%、仕事の質が26.4%と続く

強いストレスの内容 割合
仕事の量 43.2%
仕事の失敗、責任の発生等 36.2%
仕事の質 26.4%

出典:厚生労働省「令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況」

方針変更の理由が共有されない、現場の意見が反映されない、発言と実際の判断が一致しないといった状態は、組織への信頼に影響します。決定内容だけでなく、背景や判断基準を説明することが大切です。

社員・部下のモチベーションを高める方法

社員のモチベーションを高めるには、本人を鼓舞するだけでなく、仕事の目的、裁量、評価、成長機会、職場環境を見直す必要があります。主な方法は次のとおりです。

組織目標、チーム目標、個人目標のつながりを示し、社員に求める役割を具体化します。「何を」「いつまでに」「どの状態まで」行うかに加え、なぜ必要なのかも共有します。

業務の指示だけでなく、その仕事が必要な理由や顧客・組織への影響を伝えます。経営層の言葉だけでなく、顧客の反応や社内での活用例など、価値を具体的に感じられる情報を示すことが有効です。

上司から一方的に目標を与えるのではなく、本人の希望、課題、現在の能力も踏まえて設定します。組織として必要な目標を示しつつ、達成方法や成長テーマについて本人が提案できる余地を設けます。

仕事の進め方を社員自身が考え、選択できる余地を設けます。ただし、任せきりにするのではなく、目的、権限、判断基準、相談先を共有したうえで、手段の選択や改善提案を任せることがポイントです。

数値や最終結果だけでなく、工夫、改善、学習、周囲への支援なども具体的に伝えます。「頑張った」ではなく、どの行動がよかったのかを言葉にすると、社員は再現すべき行動を理解しやすくなります。

年1回の評価面談だけに限定せず、1on1や日常の対話を通じて認識を共有します。フィードバックは上司から評価を伝えるだけでなく、本人の認識や困りごとを確認する双方向の機会にします。

フィードバックの基本について下記ページでも解説しています。

フィードバックについて詳しくはこちら>

研修、資格取得支援、OJT、新しい業務への挑戦、他部署とのプロジェクトなど、成長につながる機会を用意します。研修の受講自体を目的にせず、業務での実践と振り返りまで設計することが大切です。

社員の経験、能力、価値観、キャリア希望を踏まえ、強みを発揮できる配置を検討します。配置転換だけでなく、業務分担の変更やプロジェクトへの参加など、小さな調整から始める方法もあります。

評価基準を明確にし、評価結果だけでなく、その理由や今後期待する行動を伝えます。制度が整っていても、評価者によって運用が異なれば不公平感が生じるため、評価者研修や判断基準のすり合わせも必要です。

業務プロセス、人員配置、労働時間、使用するシステム、コミュニケーション環境などを見直します。社員に意欲向上を求める前に、業務を阻害している要因を取り除くことが重要です。

社員のモチベーションを測定・把握する方法

モチベーションを直接かつ完全に数値化することは困難です。本人の回答だけでなく、対話や業務上の変化も組み合わせ、継続的に状態を把握します。

定期的な調査により、組織全体や部署ごとの変化を把握します。平均値だけでなく、部署、職種、勤続年数などによる違いや、自由記述の内容も確認します。調査後に結果と対応方針を共有しなければ、回答への不信感につながる点に注意が必要です。

エンゲージメントサーベイについて詳しくは下記ページでも解説しています。

エンゲージメントサーベイについて詳しくはこちら>

数値だけでは捉えにくい悩み、関心、キャリア希望、業務上の障害などを確認します。上司に話しにくい内容もあるため、人事面談や相談窓口など複数の接点を設けることも有効です。

1on1について詳しくは以下のページでも解説しています。

1on1について詳しくはこちら>

欠勤、遅刻、残業、休職、離職などの変化を確認します。ただし、これらの指標にはさまざまな要因が関係します。単独の指標だけでモチベーション低下と判断せず、本人の状況や職場環境とあわせて見ます。

目標達成率、提案件数、改善活動、研修への参加、社内公募への応募など、業務上の変化も確認します。成果が下がっていなくても、発言や相談、挑戦が減っている場合があるため、定性的な変化にも目を向けます。

アデコのモチベーション向上に関する導入事例

社員のモチベーションを高める施策は、組織の課題や対象者に応じて設計する必要があります。ここでは、アデコの研修・人材育成支援を活用し、内発的動機や組織文化にアプローチした事例を紹介します。

三重県桑名市では、経験したことのない課題に対応できる人材の育成を目的に、DX推進の担い手となる「躍動人財」の育成に取り組みました。2022年には20部門の33名がAdecco Academyを受講しています。

同市では、本人の意識や意欲に働きかけるだけでなく、周囲を巻き込みながら組織全体へ変化を広げていく視点を重視しました。モチベーション向上を単発の研修で終わらせず、組織変革につなげる取り組みとして参考になる事例です。

桑名市の導入事例を見る

株式会社日本旅行では、自社で研修を実施するなかで、提供する側と受講する側の意識にずれがあることを課題としていました。そこで、人事部・DX推進本部のメンバーが、他社合同で行われるアデコのDX研修を受講しました。

内発的動機の醸成を前提としたプログラムや、異業種の参加者と学ぶ環境が選定のポイントとなりました。その後、日本旅行独自のリーダー層を対象とする「事業化人材研修」の企画・実行にもつながっています。

日本旅行の導入事例を見る

サンハヤト株式会社では、社内でのコミュニケーションの取りづらさを課題としていました。内発的動機付けをカリキュラムに組み込んだアデコのDX研修を、代表者を含む社員が受講しています。

事例では、受講者の意識の変化や、業務改善に向けた発言・行動が生まれたことが紹介されています。社員に一方的に意欲を求めるのではなく、考えや提案を表明しやすい文化をつくる重要性がわかる事例です。

サンハヤトの導入事例を見る

社員が意欲を持って働ける組織づくりを進めよう

モチベーションは、社員個人の性格や気持ちだけで決まるものではありません。仕事内容、評価制度、上司との関係、職場環境、キャリアの見通しなどが複合的に影響します。

社員のモチベーションが低下している場合は、本人への声掛けや研修だけで解決しようとせず、組織の制度や業務環境に原因がないかを確認することが重要です。社員一人ひとりの価値観や適性を尊重しながら、能力を発揮しやすい配置・育成・マネジメントの仕組みを整えましょう。

アデコの「Adecco Academy」では、内発的動機、1on1コミュニケーション、ビジネスコーチング、キャリアデザインなど、企業の人材育成課題に応じた研修・キャリア支援を提供しています。

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