人事ノウハウ

生成AI・AIエージェント導入を成果につなげるには?BPOを活用した業務設計のポイント

AIありきで始めない、業務整理から運用までの進め方

2026/09/04

生成AI・AIエージェント導入を成果につなげるには?BPOを活用した業務設計のポイント

このページでわかること

  • AIを導入しても成果につながらない主な原因
  • 生成AI・AIエージェントを業務で活用するための設計ポイント
  • AI導入にBPOを活用する方法と具体的な事例

監修:
アデコ株式会社 アウトソーシングデベロップメント事業本部
ソリューション推進部 部長 脇 和男

企業における生成AIやAIエージェントの導入が進む一方、導入したものの、期待した成果に結びついていないケースも少なくありません。AI活用は、「導入するかどうか」を検討する段階から、「どのように活用し、成果につなげるか」を考える段階へと移っています。

AI導入を成果につなげるためには、ツールを導入するだけでなく、対象業務の整理や業務フローの再設計、データの整備、導入後の運用体制までをあわせて検討することが重要です。こうした取り組みを進める方法の一つとして、BPOの活用が挙げられます。

本記事では、AI導入の成果が出にくい原因とその改善策、BPOを活用してAI導入を進める際のポイントについて解説します。

(※本記事は、スマートキャンプ株式会社主催『AI BUSINESS CONFERENCE 2026 夏』へ登壇した際の内容をもとに、Web記事として再構成したものです。)

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AI活用は「試す段階」から「成果が問われる段階」へ

野村総合研究所の調査によると、生成AIを「導入済み(または導入推進中)」と回答した企業の割合は、2023年度の33.8%から2025年度には57.7%へ増加しました。さらに、「導入検討中」の18.1%を合わせると75.8%となり、約76%の企業が生成AIの導入または導入検討の段階にあります。こうした普及を背景に、企業の関心は「AIを導入するか」から「どのように活用して成果を出すか」へ移りつつあります。AI活用は今、「試す段階」から「成果が問われる段階」に入ったといえます。

生成AIの導入状況

生成AI「導入済み(または導入推進中)」率の推移:2023年度33.8%、2024年度44.8%、2025年度57.7%と年々増加。導入済み(または導入推進中)と導入検討中を合わせると75.8%となり、約76%の企業が導入・検討フェーズへ進んでいる

出所:株式会社野村総合研究所「ユーザー企業のIT活用実態調査(2025年)」をもとにアデコ株式会社で作成
※「導入済み(または導入推進中)」57.7%と「導入検討中」18.1%の合計。

一方、AIを導入したからといって、すべての企業がその成果を得られているわけではありません。PoC(概念実証)で止まる、個人利用にとどまる、効果を測定できない、かえって現場の負担が増えるといった問題も見られます。また、一定の効果が出ていても、AIの対象業務や利用範囲が限定的なケースもあります。

成果が出ない背景にある4つの原因

AI導入で期待した成果が得られない要因は、AIそのものの性能にあると捉えられがちです。しかし、実際には、導入前に必要な「目的」「業務」「データ」「運用体制」の整理・設計が十分に行われていないために、成果につながらないケースがよく見られます。この4点が事前に整理できていないと、せっかくAIを導入しても、導入効果を適切に評価できなかったり、効果が業務の一部にとどまったりします。

AI導入で成果が出ない4つの原因

1.目的があいまいである(AI導入自体が目的化し、解決したい課題や成功条件が不明確)。2.AIの活用範囲が局所的である(特定の部門・作業だけの導入で、前後工程と連動せず工数が増えることも)。3.データが整備されていない(形式や必要な情報が揃わず、判断基準不足で精度を得にくい)。4.運用体制が不十分である(更新・確認の担当者や手順が未確定で、導入後に定着しにくい)。

  1. 目的があいまいである

    AIの導入自体が目的になり、解決したい課題や目標が明確でないと、導入効果や成否を判断できません。

  2. AIの活用範囲が局所的である

    AIの活用が一部の作業に限られ、前後工程と連動していないと、業務全体の工数は減りません。AIの処理を挟むことで、確認や修正作業が増え、かえって社員の負担が大きくなる場合もあります。

  3. データが整備されていない

    AIが行う処理に必要なデータの形式がそろっていなかったり、必要な情報や判断基準が不足していたりすると、AIの作業精度が安定しません。

  4. 運用体制が不十分である

    導入後のデータ更新や品質確認、問題発生時の対応にあたる体制がないと、業務とAIの出力にズレが生じ、次第に使われなくなります。

AI導入を成果につなげるための4つのポイント

1.目的を明確に定義する

AIは課題を解決するための手段であり、導入自体が目的ではありません。まず、解決したい業務課題と、目指す状態を明確にし、効果を測定するKPIを設定します。
現場、経営層、IT部門では重視する評価軸が異なるため、導入前にKPIを共有し、何をもって成果とするのか合意しておくことが重要です。

2.対象業務を局所的にせず、「全体最適」で計画する

AIを一部の作業だけに導入しても、その後に人による確認や修正の工程が残れば、業務全体の工数の大幅な削減は実現できません。
前後工程や例外対応まで含めて業務を可視化し、人が担う工程とAIに任せる工程を整理したうえで、業務全体を再設計する必要があります。

3.データを整備し、判断の基準を明確にする

AIが正確に処理するには、データの形式を統一するだけでなく、「どのような場合に、どのように判断するのか」という業務上の基準を明確にする必要があります。判断基準や例外ルールを定め、誤った結果をもとにデータを見直すことで、AIの精度を継続的に改善できます。

4.現場で使い続けられる仕組みをつくる

AIが現場に定着しない大きな理由の一つは、ツールを導入・配布するだけで、業務への組み込み方や運用方法まで設計されていないことです。次の5点をあらかじめ設計しておくことが重要です。

AIを現場に定着させるためのポイント

1.業務フローに組み込む(どの工程で誰が使うのかがあいまいだと定着しない)。2.現場へのメリットを明確に(手間が増えると使われなくなる)。3.継続的なトレーニング(使い方が分からず定着しにくい)。4.安心できるルール・確認体制を整備(確認範囲やルールがあいまい)。5.管理者が率先してリード(活用方針や改善が現場任せになりがち)

  1. 業務フローに組み込む

    どの工程で誰が使い、どこを人が確認するのかを決め、その内容を業務手順に落とし込みます。

  2. 現場へのメリットを明確にする

    導入後新たに発生する作業だけではなく、導入によりいかに現場の負担が減るかについても十分に説明を行います。

  3. 継続的にトレーニングを行う

    導入時の説明だけでなく、実務的なトレーニングを継続的に行うとともに、相談窓口を設け、AIの活用を長期的にサポートします。

  4. 安心できるルール・確認体制を整備する

    安心してAIを使えるよう、利用範囲、入力可能な情報、人による確認が必要な場面、問題発生時の対応を明文化し社内に周知します。

  5. 管理者が率先してリードする

    管理者やリーダーが率先してAIを活用し、その内容を発信したり、自ら業務改善を行います。

AI導入で本当に必要なのは、ツールを配布することだけではありません。業務フローへの組み込み、教育、品質管理、現場への支援、効果測定まで含めて、継続的に運用できる仕組みをつくる必要があります。AIを「導入して終わるもの」ではなく、「業務で使いながら改善していくもの」として設計することで、成果につながりやすくなります。

成果を分けるのはAIの性能ではなく、業務設計

AI活用の成果を分けるのは、AIの性能だけではなく、業務設計です。目的、業務フロー、データ、運用体制をあわせて見直し、人とAIの役割を再設計する必要があります。こうした業務プロセスの抜本的な見直しをBPR(Business Process Re-engineering)といいます。

AIエージェントを業務で活用する際のポイント

AIエージェントは、与えられた目的に応じて、情報やツールを利用しながら複数の作業を進める仕組みです。

一方で、利用するデータや判断基準、実行できる範囲が整理されていないと、想定外の処理につながる可能性があります。AIエージェントに任せる業務、人が確認する工程、例外が発生した場合の対応を、あらかじめ決めておく必要があります。

AI導入を成果につなげるBPOの活用方法

業務設計の見直しを自社だけで進めるのが難しい場合、選択肢となるのがBPOです。BPOを活用することで、課題やKPIの整理、業務フローの可視化・再設計、AIが利用するデータの整備、導入後の業務運営まで切れ目のない支援を受けられます。外部の知見や運営リソースを活用することで、社員への負荷を抑えながら、AI導入と継続的な改善を進めやすくなります。

AI導入を成果につなげるためのBPO伴走支援

A.目的整理・KPI設計、B.BPR・業務再設計、C.データ・業務ルールの整備、D.現場運用・継続改善。期待できる効果:社内負荷を抑えやすい、実行スピードを高めやすい、AIが現場に定着しやすい

AI活用とBPOを組み合わせた事例:給与計算・請求書作成業務の効率化

ある人材企業では、給与計算・請求書作成業務に多くの工数がかかっていました。アデコでは、この業務の定型工程を整理し、Claude Codeを活用して、請求書作成を効率化するアプリを開発しました。

AI活用事例:請求書作成効率化アプリの開発

1.課題:給与計算や請求書作成に毎月かなりの工数がかかっていた。2.対象の整理:給与計算・請求書作成業務のうちルールに沿って処理する定型的な工程を整理し、請求書作成を効率化の対象に。3.アプリの開発:Claude Codeを活用して請求書作成を効率化するアプリを開発し、業務工数削減に取り組む。期待される効果(試算):30名が担当している業務を約60%削減できる見込み

現在は導入段階で、実績効果の測定はこれからですが、試算では、30名が担当する当該業務の工数を約60%削減できる見込みです。

まとめ

AI導入を成果につなげるには、AIありきで進めるのではなく、目的、対象業務、データ、運用体制を設計することが重要です。

生成AIやAIエージェントを一部の作業に導入するだけでは、前後工程に手作業が残り、業務全体の効率化につながらない場合があります。

AI導入にBPOを活用する場合は、業務フローを可視化し、AIに任せる工程と人が担う工程を整理したうえで、導入後の運用や改善まで継続的に行います。

アデコでは、AIやDXを活用したBPOサービスを提供しています。AIを活用できる業務の選定や業務フローの見直しなど、アウトソーシング・BPOに関するご相談は、アデコまでお問い合わせください。

監修者プロフィール

脇 和男
脇 和男
(アデコ株式会社 アウトソーシングデベロップメント事業本部 ソリューション推進部 部長)

2001年アデコ入社。BPO事業の企画・営業・運営に幅広く従事し、多様な業界における業務課題の解決やプロジェクト推進を手掛ける。現場運営と事業戦略の双方に精通し、現在はAIを活用したBPOサービスやBPOセンターの高度化・効率化を推進。品質向上、生産性改善、業務標準化に関する豊富な実践知をもとに、AI時代におけるBPOの変革と新たな価値創出に取り組んでいる。
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